こころを支える精神科領域のお仕事

精神科について知る前に日本人のストレスに対する弱さを理解する

ストレス社会に生きる人々を守る存在

ストレスに弱い日本人

           ストレスに弱い日本人

遺伝子レベルで弱い

実は、日本人は遺伝子レベルでストレスに弱いというデータがあります。人は、感情や気分の安定を司る神経伝達物質である「セロトニン」が減少するとうつ病になるといわれています。体内でセロトニンの量を調節しているセロトニントランスポーターは、「SS型」「SL型」「LL型」の3つに分類されます。S型が多い人は内向的になる傾向にあり、L型が多い人は外交的になる傾向にあります。つまり、SS型の人は極めて従順で内向的な性格になります。そして日本人は、ストレスに弱いSS型の人が多いといわれています。

価値観も関係している

遺伝子レベルでストレスに弱い傾向があると紹介しましたが、これに加えて日本人特有の精神性も関係しています。日本人は「頑張る」という行為に大きな価値を置いています。「耐え忍び努力すること」を美徳とする文化が根強いため、ストレスをため込みやすいのです。もちろん悪い価値観ではありませんが、「生きていく上で我慢をするのは当然のことだ」といった考えでは、ストレスを上手く解消することができません。
また、「慎ましさ」「奥ゆかしさ」といった価値観も美徳とされています。これも悪いことではありませんが、グローバル化が進む現代においてはストレスを感じる場面があるでしょう。例えば、アメリカの人に「日本語を話せますか?」と聞くと、「Sushi(すし)!」と元気に答えてくれますが、日本人に「英語を話せますか?」と聞くと、自信なさげに「I can’t speak english」と返す人が多いです。これはアメリカの人からすれば、「話せていますよ」と感じるわけです。

仕事や教育の場でも

他国から見ても、日本人は真面目で勤勉であるというイメージがあります。そして、その特性を活かして経済を発展させてきました。日本には「人付き合いを大事にする」という風習が昔からあります。お互いに空気を読み合いながら付き合っていかなかなければならないのです。付き合いは一種の「義理」であり、付き合いのよさが評価につながる習慣が今もなお残っています。協調性の高さがチームとしての力を発揮することもありますが、近年は個人の主体性が求められる時代です。
また、教育の場においても「集団行動」が重視されており、小さいころから強要されてきました。他の子どもと違う行動をしたら「変な子」というレッテルを貼られる雰囲気があるため、「できるだけ目立たずにみんなと同じ行動をする」という考えを持った人が多いのです。しかし、こういった価値観を重視した社会は非常に息苦しく、多くのストレスを抱える要因となります。

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